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「妨害?」
私は理沙さんの言葉に驚いた。
だって納涼会で会社の人達に会ったけど、妨害するようなそんな感じの人達には見えなかった。
どちらかと言うとアットホームで気さくな人達って印象だったけど。
その人達が妨害だなんて、余程のモメ方をしたのだろう。
「そんな時よ、あなたと結婚するって言ってきたのは」
「…」
「最初は冗談かと思ったわ。だって独立が上手く軌道に乗ったら次は彼との結婚と思ってた矢先に他の人と結婚だなんてありえないでしょ?」
「…」
「でも彼は本気だった。だから会社も辞めないって断ってきたわ」
「…」
「私は不本意だったけど彼の意思を尊重した。でもそのおかげで社内での話題も彼の結婚の事で持ちきりになってね。すんなりと独立出来たの」
「…」
その話し方はまるで息継ぎをしていないかのように勢いがあって。
私はその勢いに面喰ってただ黙って聞くしかできなかった。
と同時に理沙さんの気持ちがわかってきた。
やっぱり理沙さんはコウとの結婚を考えていたんだ。
だから独立もその為のプロセスの一部だったんだ。
それなのにコウは私との結婚を切り出した。
確かに理沙さんからしたらありえない話だ。
でもどうしてコウは私との結婚を選んだのだろう?
「今はこうして海外の仕事も手に入れられた。私の会社があるのも彼のおかげだと思った時にわかったの」
「わかった?何が?」
すると理沙さんは私を真っすぐ見ながら微笑んだ。
「彼はやっぱり私を想っている。だから守ってくれた」
「え…?」
「私の会社を守るためにあなたと結婚したんだって」
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