1204人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
コウは仕事の為に結婚すると言ってた。
ボスが結婚しないとうるさいって。
仕事に支障が出るって。
でもそれは理沙さんの会社を守る為だった。
私と結婚する事でコウは独立を諦めた。
その事によって理沙さんが独立しやすくなった。
コウも支障がなく今まで通りに仕事が出来る。
確かに仕事の為というのは嘘じゃない。
そう考えると全て辻褄が合う。
…そっか。
私への想いからじゃなかったんだ。
理沙さんを想う気持ちから私との結婚を決めたんだ。
確かに私達は普通じゃ考えられない結婚をしている。
いくら母親に言われたとしても20年近く会ってなかった人と結婚なんて簡単にできるものではない。
それに会社には結婚の話が出た半年前に報告している。
当然その時はまだ私はコウに会っていない。
考えれば考えるほどこの結婚はおかしい。
たぶん、いいタイミングに私との結婚話が出てコウはそれに乗ったんだ。
全て理沙さんの為に…。
結婚生活の中でコウは私を好きと言ってくれた。
キスもした。
抱いてもくれた。
でもそれは結婚生活の為で。
心の中では私ではなくて理沙さんがいたんだ。
コウとの甘い生活が音を立てて崩れていく。
そう思うと心が虚しくなり居た堪れない気持ちになった。
最初のコメントを投稿しよう!