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「じゃあ一週間後に連絡します。それまでに考えておいてください」
理沙さんはそう言うと先に帰って行った。
言いたい事を全て話した今、これ以上ここにいる理由がないのだろう。
席を立ちあがると私の顔も見ずにカフェをあとにした。
私はそんな理沙さんの後姿をぼんやりと見ていた。
理沙さんは「考えておいてください」って言ってたけど、何を考えるの?
一緒にアメリカに行くように勧める事?
そんなんで済むはずがない。
コウと別れるか決めろって事だ。
そんなの嫌だ。
コウと別れるなんて想像できない。
たとえ理沙さんを想ってたとしても、あの結婚生活は嘘じゃないから。
好きだと言ってくれた気持ちに嘘はないと思うから。
だからコウを手放したくない。
でも…。
海外での仕事はコウにとって夢だ。
それはどんなに頑張っても私にはできない。叶えてあげれないけど…。
理沙さんはコウの夢を叶える事が出来る。
でもきっとコウの事だから理沙さんに誘われても断るだろう。
理沙さんも私がいるから行かないと言ってた。
じゃあ私が勧めたらコウは行く?
いや…それもない。
それよりも理沙さんに会った事を知ったら怒るかもしれない。
自分がいない所で勝手にそんな話するなって理沙さんを非難するだろう。
でも私はコウの夢を叶えてあげたい。
こんなチャンスそうはないから。
ねえコウ。私、どうしたらいい?
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