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「リ、リーダーって…」
俺は息巻きながら出て行く理沙を見ながら呟いた。
…そうだ。
このプロジェクトのサブリーダーは俺だから。
アイツがいなくなると自動的に俺がリーダーになる。
って納期も近いんだぞ。
それを今からまとめるのか?俺が?
考えただけでも先が思いやられる。
これで毎日残業決定だな。
「マジかよ」
そう思うと同時に声が出ていた。
「マジですよ。先輩」
「…高科」
俺が声のする方に振り向くと高科がいた。
高科は理沙の説得に疲れたのかぐったりとしていた。
「全く神野さんには困りましたよ。先輩は何か聞いてました?」
「いや何も」
俺は素直に答えた。
たぶん独立の事だと思うが、会社と揉めていたとは知らなかった。
でも高科は俺の言葉を信用していないみたいだ。
俺を疑ってるように見ている。
そして何かを言おうとした時に横から別の声が聞こえてきた。
「ホント困るよなぁ。神野女史の我儘には」
「田中」
俺が振り向くとさっき自席に戻ったばかりの田中がまたそこにいた。
どうやら高科との話しに入ろうと思ったらしい。
「なったまには3人で飲みに行こうよ。リーダー昇格祝いだ」
田中はそう言うとにっこりと微笑んだ。
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