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「俺、結婚するから」
俺は二人から視線を外すとボソッと呟くように言った。
なんとなくだが、二人の顔を見ながら言うのが嫌だったからだ。
でもボスや理沙に言ってしまっている以上、この二人にも言わないといけない。
黙ってて後で何か言われると面倒だ。
それに理沙の独立に俺が絡んでいた事も二人は知っているはずだ。
だからこの話をする事で話が消えてほしいと思った。
「…」
「…」
二人は俺の言葉に驚いたのか同時に黙り、お互いの顔を見合わせた。
そしてアイコンタクトを取っていたかと思うと田中が遠慮気味に言い出した。
「おまえ酔ってる？」
田中は俺を心配そうにじっと見ている。
たぶん酔って妄想でも語っていると思っているのだろう。
妄想なんかじゃないし。
酔ってもない。
そんな顔で見るおまえに更にイラッとくる。
「酔ってねーよ」
俺は呆れた顔をしながら言った。
そんな俺の態度に田中は「へぇ」と意外そうな顔をしている。
…やっとわかってくれたな。
するとしばらく黙っていた高科が俺を見ながら言ってきた。
「じゃあ本当なんですか？結婚って」
その顔は真剣で真っ直ぐ俺を見つめていた。
「本当」
高科はズイッ顔を近づけると俺に食らい付くように聞いてきた。
「誰と？神野さんですか？」
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