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「美羽、今行くって」
小母さんはリビングに戻ると俺の向かいに座りながら言った。
「わかりました」
「そうそう。美羽が来る前に話しておくけど、孝くんの事はもう話しているからね。結婚相手として会うって」
「ありがとうございます。知っている方が話が早いと思います」
「そうよね。でも楽しみだわ」
小母さんは本当に楽しみにしているらしく嬉しそうに笑った。
そんな小母さんを見ていると今日という日を迎えられた事が嬉しく感じる。
「僕もです」
俺は小母さんに合わせるように笑った。
するとパタパタと歩いてくる音が聞こえてきた。
絶対にミウだ。
俺はミウだとわかると胸がドキンとして緊張が増していくのを感じた。
いや、緊張と不安が入り交ざっていると言った方が正しいと思う。
会えるという喜びと久しぶりに会う不安。
だって20年は顔も見てないし声も聞いてないんだぞ。
ミウだっていい年齢なんだし、俺の知っている昔のミウとは変わっているはずだ。
今日会う理由を理解しているとは言え、いきなり「結婚相手です」って挨拶できるだろうか?
そう思うと不安の方が勝っていたのかもしれない。
でも俺の心配は無駄だったようだ。
「お待たせしまし…」
だって目の前に現れたミウは…。
俺が最後に見た中学生のミウと変わってなかったから。
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