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だったら会いに行けばいいと思う。
好きだって告白すればいいと思う。
でも引っ越し先がミウの家からかなり離れていて学生の俺には簡単に行けなかった。
祖母ちゃんもいたしな。
その頃の祖母ちゃん、あまり体調が良くなくて俺が病院の送り迎えをしていた。
だから尚更ミウに会いに行く事なんかできなかった。
でも大学生の頃に一度だけミウに会いに行こうかと思った事がある。
その頃は祖母ちゃんも亡くなっていて、時間にも余裕があったからな。
でも実際に行こうとすると気が引けて行けなかった。
だってミウと離れてから何年になる?
ミウだってもういい年頃の女になっているはずだ。
男がいてもおかしくないだろう。
それなのに今更ずっと好きだったって。
苦手だった俺に言われても嬉しくないよな。
なんか気持ち悪いよな。
そう言われるのが怖くてミウに拒絶されるのが怖くて。
諦めたんだよ。
だから小父さんの命日には毎年ミウの家に行こう決めたけど、俺はミウに会う自信がなかった。
それより俺の存在を忘れて欲しくない。
小母さんが「孝くん来たのよ」ってミウに伝えてくれればいい。
俺の名前がミウの心の片隅にでも残っていればいい。
そんな思いから俺も小母さんと同じように前日に行こうと心に決めたんだよな。
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