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「とりあえず座れよ」
家に着き、リビングに通すと俺はミウに適当に座る様に言った。
そして冷蔵庫から数本の缶ビールを取り出し、リビングで待っているミウの下へと向かう。
ミウはどうしたらいいのかわからない顔をしながら椅子に座っていた。
俺はそんなミウに「んっ」と缶ビールを差し出した。
ミウは「ありがとう」と小声で言いながら手を伸ばす。
そしてビールを手渡した瞬間、驚いた声を出していた。
「冷たいっ」
「あたりまえだろ。冷蔵庫で冷やしていたんだから」
俺はそう言うとミウの向かいに座った。
するとミウは俺が手に持っているものに気がつくと不思議そうな顔をしながら言った。
「だよね。やっぱり冷えてないと。…ってコウは飲まないの?」
「俺はいいよ」
「なんで?ビール嫌い?」
「飲めるけど、俺が飲んじゃうとお前の事送れないだろ?」
「あ…」
ミウはやっとわかったらしく間の抜けた顔をしていた。
そう。俺の手元にはビールではなくて、お茶のペットボトルがある。
でも嫌いとか飲めないわけではない。
俺が飲んでしまうとミウを送って行けないからだ。
いきなり泊まりもないだろう。たぶんミウだって嫌がるはずだ。
でもだからって電車やタクシーで帰れとも言えない。
迎えに行ったんだから送るのも当然だ。
まぁそれに嫌いだったら冷蔵庫に入ってないからな。
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