1133人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫だよ。電車が無くなったらタクシーで帰ればいいんだし。だからコウも一緒に飲も」
ミウはそう言うと俺に缶ビールを差し出してきた。
その顔は自分一人で飲むは嫌だって言っているように見える。
…でも大丈夫か?一人で帰れるのか?
って。俺、何考えているんだ?コイツだっていい年齢の大人だ。
一人で帰るなんてできて当たり前だ。
俺が何とかしなきゃって…いつまでも子供じゃないんだよな。
だったらミウの言う通り一緒に飲むか。
「まっ。そうだな。じゃあ遠慮なく」
俺はそう言うとミウから缶ビールを受け取り蓋を開けた。
ミウは俺が蓋を開けると嬉しそうな顔をしながら手を伸ばして缶ビールを俺に向けてきた。
「乾杯!」
俺とミウはお互いに見つめ合い同時に言うと一気に口に流し込む。
冷えたビールが喉を通って行く。
そして目の前には俺の大好きなミウがいる。
「んーっ!やっぱり冷えたビールは美味しい!」
ミウは美味しそうにビールを飲むと幸せそうな顔をした。
そんなミウを見ていると俺もいつもより美味しく感じる。
「そうだよな。旨いな」
「だよね。この冷たさがいいんだよ」
「でもさ、お前なんで冷えたビールに拘ってたの?」
ミウと一緒に飲めるのは嬉しいけど、でも俺の中では疑問があった。
なんでコイツ冷たいビールに拘っているの?
ビール好きなら当然家にもあるはずだろ?
なんで俺の家にまで来て飲んでるの?
最初のコメントを投稿しよう!