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ミウは俺と目が合うとニコッと微笑み、そのまま俺を抱きしめた。
「あっ…」
俺は突然の事に驚き、その場に立ち尽くしてしまった。
「うふふ。コウだぁ」
ミウは抱きしめながら嬉しそうに俺の名前を呼ぶ。
その声はお酒のせいかいつもより数段甘くて。
それも耳元で言うからくすぐったくて、ドキドキしてくる。
…ミウが…俺を抱きしめている。
酔っていて力が入らないはずなのに俺を離さないと言わんばかりに強く抱きしめている。
抱きしめられているから当然、体は密着していて。
顔は頬と頬が触れていてミウの肌を直接、顔に感じる。
俺はミウの体の感触と甘い声にドキドキが止まらなかった。
…コイツ俺の事、好きなのか?
さっきまではそんな素振り見せなかったけど、こうして抱きついてるし。
「ミウ…」
俺は呟くように小さな声で言うと顔をそっと離した。
ミウは下を向いていてあまりにも近くてどんな表情なのかわからない。
でも今にもキスができる距離にミウの唇がある。
その唇は潤んでいて、その唇から出る吐息が俺の顔に届く。
俺はこの状態にドキドキしていた。
…ああキスしたい。
ミウの唇に触れたい。
でもここで「キスしていい?」だなんて聞けない。
いや、聞いちゃいけないだろう。
それにきっとミウも聞いて欲しくないだろう。
だから黙ったまま下を向いているんだ。
俺はドキドキを抑えながらゆっくりと唇を近づけていった。
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