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俺はマグカップを差し出すとミウは「ありがとう」と言い受け取った。
そしてカップを口に運び一口飲む。
「…美味しい」
「そうか?」
「うん。すごく落ち着く」
ミウはそう言うと俺を見ながら微笑んだ。
その顔は穏やかで、ミウを見ていると部屋全体が穏やかな空気になっていく感じがする。
…いいな。この感じ。
何だか俺まで穏やかな気分になってくる。
でもこの穏やかなミウがあんなに酒を飲むとは意外だった。
家にあった缶ビールはほとんどないだろう。
キッチンにはそれだけの缶ビールが並べられている。
コイツ、パッと見た感じはそう見えないんだけどな。
「でもお前ってよく飲むんだな」
「そう?」
「いつもそうなの?」
「いつもはそうじゃないよ。昨日はたまたま」
ミウはそう言うと下を向いた。
たまたま…かぁ。何かあったんだな。
まぁきっと言いたくない事情なんだろう。
「ふーん」
俺は無理してまで聞こうとは思わなかった。
ミウも言いたくなさそうだからな。
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