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「はぁ」
俺はパソコンのキーボードから手を放すと大きく伸びをした。
画面には今作成しているクッキーに貼るシールのデザイン画が表示されている。
あと少しで完成するのだか、目が疲れていて考えるのも辛い。
気がつくと首や肩が張って固くなっている。
…疲れているな。
コーヒーでも飲んで少し休憩するか。
俺は立ち上がり辺りを見渡すと殺伐とした雰囲気の中、皆黙々と作業をしていた。
その中には高科もいる。
高科は真剣な顔でパソコンに向かっていた。
まぁ納期も近いから必死なんだろう。
「お疲れだね」
俺は高科には声をかけずに自動販売機の方へ向かおうとすると隣の席から声が聞こえてきた。
声の主は誰だかわかる。同期の田中だ。
こいつは調子のいい奴で忙しい時でもチャラチャラしてイラッと感じる時もある。
俺は田中に返事をするのが面倒に感じて無視した。
すると田中はそんな俺に苦笑しながらも話しかけてきた。
「おいおい。無視する事ないだろ?」
「うるさい」
「まぁまぁ。たまには一緒にコーヒーでも飲もうよ」
田中はそう言うと俺の肩をポンと叩き、先に歩き出した。
それはあまりにもスマートで男の俺でも凄いなと思う時がある。
…コイツこういうのは上手いんだよな。
これじゃ無視できねーよ。
俺は小さい声で「しょうがねーな」と呟くと田中の後を追うように部屋を後にした。
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