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「ごめん」
ミウはそんな俺を見ながら申し訳なさそうに謝った。
そして顔を手で覆うと「はぁ」と溜息をつく。
自分の取った行動にショックを受けているみたいだ。
俺はそんなミウを見ながら昨夜の事を覚えてない事を確信した。
…コイツやっぱり覚えてないな。
きっと飲んだ記憶しかないのだろう。
だってかなり落ち込んでいるもんな。
でもコイツ、抱き合った事を知ったらどうなるんだろう?
「お前に抱きしめられたんだよ」って俺に言われたらどんな顔をするんだろう?
真っ青になって卒倒?
ありうるな。想像がつく。
そうなった事を考えると面白いかもしれない。
…でもさすがに言えないよな。
だってそんなミウの顔見たくないし、困らせたくないから。
それに俺だって嫌じゃなかった。
ミウとこうして過ごせて楽しかったし、できればまた飲みたい。
気兼ねする事なく楽しく酒が飲みたい。
でもそれをどうミウに伝えればいいのかわからなかった。
真っ直ぐ見つめながら言うのも重苦しくてなんか変だし。
軽く言ってチャラ男に見られるのも嫌だ。
だから普通に言うのがいいと思った。
「まぁいいけど」
俺はミウを見ずに言うと黙ってコーヒーを飲んだ。
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