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役所での全ての手続きが終わり、家に帰る頃は既に夜になっていた。
ミウも朝から引っ越しやら手続きで忙しかったから今日の夕食はデリバリでも頼むつもりでいたが、ミウはそう思っていなかったらしい。
「せっかくだからお祝いしようよ」と言い、キッチンに向かったと思えば冷蔵庫を開ける。
その瞬間、俺は昨日重たい思いをしても買い物に行って良かったと思った。
「コウって料理するの?」
ミウは冷蔵庫の中を見ると不思議そうに言った。
多くの食材を見てきっと俺が料理すると思ったのだろう。
もしかしたら尊敬したかもしれない。
…悪いな、お前の尊敬は勘違いだ。
正直、自炊はほとんどしない。
毎日コンビニで弁当買ったりしているんだよ。
毎日残業で帰りは遅いし、休みの日はゆっくりと寝ていたい。
でもミウの為に買ったと言うのが恥ずかしくて、恰も自分が自炊をしているように言った。
「毎日じゃないけどな」
「冷蔵庫に色々入っている」
「何か作るの?」
「うん。ちょっと待ってて」
ミウはそう言うと食材を手にすると夕食の準備を始めた。
それは手際が良くて、俺は見ながら凄いなと思った。
…コイツちゃんと自炊しているんだな。
俺はそんなミウをぼんやりと見ていたが、邪魔になると思いリビングに行くとソファーに座りテレビの電源を入れた。
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