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ミウが目を瞑っている。
これはたぶんキスしていいって事だよな?
…ミウ。
でも俺はキスする事ができなかった。
だってミウは瞳だけではなくて体全体に力が入っていたから。
まるで構えるみたいに。
キスはしてやってもいいけど、絶対にあんたの事は受け入れないと態度で示している。
そんなミウを見た瞬間、俺の中のオオカミが尻尾を巻いて逃げていった。
…嫌か。
まっ。そうだよな。
好きでもない男に抱かれたくないよな。
結婚したけど、夫婦にはなったけど。ミウにとって俺は所詮、幼馴染だもんな。
だから恋愛感情もないのだろう。
俺はミウから離れると「はぁ」と聞こえない様に溜息をついた。
でもコイツの反応。ガチガチに固まっちゃってさ。
まるで子供みたいだな。
俺はミウを見ながら「フフッ」笑うと言った。
「なーんて冗談」
「へ?」
ミウは俺の言葉に驚いた声を出すと、恐る恐る目を開けた。
俺と目が合うとミウはきょとんとした顔をした。
きっと今の状況がわからないのだろう。
キスしないの?いいの?って顔をしている。
ったく。わかりやすいな。
コイツは昔と変わらない。
そんなミウを見ていると可笑しくて口から笑みがこぼれていた。
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