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「はぁ?」
俺はミウの言葉に拍子抜けして、間の抜けた声を出してしまった。
今、冷えたビールって言ったよな?
ビールってコイツ何言ってんの?
そんな話じゃないだろ?結婚の事だろ?
返事の電話じゃないのかよ。
それなのにビールって何だよ。
…意味わかんねぇ。
でもミウは俺の事など気にしてないのか妙に明るいテンションで言った。
「だってビール飲みたいんだもん」
俺はそんなミウに違和感を感じていた。
何か変だ。この前会った時と感じが違う。
…コイツ酔っている。絶対に。
「お前酔ってるだろ?」
「うん。酔ってるよ」
ミウはあっけらかんとした口調で言った。
…やっぱり。
これじゃあ結婚の返事を聞く事はできないか。
じゃあ何の電話だ?嫌がらせか?
ったく。いくらミウでもそんなのは御免だ。
俺は「はぁ」と溜息をつくとわざと突き放すような言い方をした。
「俺は酔っ払いの相手をするほど暇じゃねーよ」
でもミウには通じていないみたいだ。「あはは」と乾いた笑いをしながら俺をバカにするように言った。
「ふーん。じゃあないの?ないんだー」
俺はミウの言い方にイラッとしていた。
…なんだ。この酔っぱらいは。
普通ならここで電話を切るところだが、何故か電話を切る事が出来なかった。
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