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「チッ…あるよ。ビール」
俺は舌打ちをすると素直にビールがある事を伝えた。
確かにビールは冷蔵庫にある。それは嘘ではない。
でもそれをミウに素直に言ってしまう自分に俺自身イラッとしていた。
俺は酔っぱらい相手に何でちゃんと返事しているんだ?
こんなの適当に言って電話を切っちゃえばいいのに…やっぱりミウだからか?
…はぁ。何で俺がミウに振り回されているんだよ。
って。こんなの初めてだな。
まぁたまにはいいか。電話だしな。
俺はミウに聞こえない様に溜息をつくと冷蔵庫に向かった。
そしてビールを取り出そうとするとミウの声が聞こえてきた。
「じゃあ今からコウの家に行く」
…えっ?家に行く?
ミウの言葉に俺はビールを床に落としてしまった。
そしてビールを拾うと俺は怒鳴るように強く言っていた。
「お前何言ってるの?何時だと思ってんだよ」
「えーとね10時かな」
ミウは平然とした返事をする。
そんなミウの声を聴きながら俺の声はさらに強くなっていく。
「バカじゃねーの?こんな時間に来るヤツいるかよ」
「こんな時間でも行ってもいいでしょ?まだ電車動いてるし」
「そういう問題じゃねえよ。こんな時間に外出歩くの危ないだろ?」
「危なくないよ。もうこの年齢になると誰も声かけてくれないし」
ミウはそう言うと「あはは」と笑った。
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