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『この年齢になると誰も声をかけてくれないし』
たぶんミウは俺に笑って欲しくて言ったのだろう。
それとも「そうだな」って言って欲しかったのかもしれない。
でも俺は笑えなかった。
逆にここまで言うミウが心配になってきた。
コイツってこんなに言う奴だったっけ?
もしかして何かあった?だから俺に電話をしてきたのか?
気がつくと俺は呟くように小さな声で言っていた。
「…………お前、そんなに飲みたいの?」
「うん。飲みたい。っていうか飲み足りない」
さっきまでの俺のテンションとは違う事にミウは驚いたのか一瞬黙るとゆっくりとした口調で言った。
そんなミウの声を聴いていると会いたくなってくる。
俺は「はぁ」と一息つくと言った。
「…わかったよ」
「ん?」
「今から迎えに行くから、そこで待ってろ」
俺は電話を切ると慌てて私服に着替えた。
ミウが待っている。
どういう理由かわからないけど俺を待っている。
そう思うと僅かな時間さえもったいなく感じる。
たぶん結婚の話ではないだろう。
もしかしたら本当にただ飲みたかっただけなのかもしれない。
それでもいい。ミウに会いたい。
やっぱり俺、アイツが好きだ。
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