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「ごめん。…怒ってる?」
ミウは家のドアを開けるなり申し訳なさそうに上目づかいに俺を見ながら言った。
そして言い終わると下を向き、目をぎゅっと瞑った。
たぶん俺が怒っていると思っているのだろう。
まぁこんな時間に迎えに来させたからな。
それに俺もドアが開くなり「ほら行くぞ」って言ったから余計か。
…でもコイツのこの怖がりよう。なんか可愛いな。
俺は目をぎゅっと瞑っているミウを見ながら「ふふっ」と笑ってしまった。
「…怒ってねーよ」
「いいの?」
「いいの?って…いいから来たんだろ?行くぞ、支度しろ」
「う、うん。待ってて」
ミウはそう言うとパタンとドアを閉めて家の中に入って行った。
そして数分後、またドアが開いたと思うと目の前には支度が終わったミウがいる。
あまりにも早い着替えに俺は驚いた声を出してしまった。
「早いな」
「化粧直す事ないでしょ?」
ミウはそう言うとおどけた様にニコッと微笑んだ。
…さっきまであんなに怯えた顔していたのに。コイツ、切り替えが早いのか、ただのバカなのか。
でもそんなミウを見ていると、どこかホッと安心する。
「フッ。まっ、そうだな。じゃあ行くか」
俺がそう言うとミウは「うん」と頷き玄関から出てきた。
そして鍵を閉めるのを見届けると俺達は車に向かって歩き出した。
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