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バーベキュー当日、ミウは会社の人達に俺を紹介していった。
俺はこの場所では知っている人はミウしかいないし、ほとんどの人が初めて会う人だからミウも気を使ってくれたのだろう。
殆どミウが話して俺は会釈する程度だ。
だから俺は楽だったし、会社の人たちも挨拶する度に「ああ。あの時の」と言っていた。
どうやらあの時の印象が強かったらしい。
あの時…確かミウが会社の歓迎会に行った日。偶然俺と会ったんだよな。
それも元カレに絡まれている所を。
もちろん見て見ぬふりなんてできないし、元カレに物凄くムカついたから思わず声をかけたら…会社の人たちがわらわらと集まってきて…。
ミウは結婚した事をみんなに話していなかったらしく、恥ずかしそうな顔をしてたな。
まっ。これで結婚も公認になったんだし、俺的にはオッケーだ。
「せーんぱい。おはようございますっ」
ミウに連れられて挨拶をしていると後ろから声をかけられた。
その声に合わせるように振り向くと20代前半だろう思われる元気のよさそうな娘がニコニコしながらミウと俺を見ていた。
そう。この娘が華ちゃんだ。
あの時の事はうろ覚えだが、華ちゃんの事はよーく覚えている。
今日はどうやら彼氏も一緒に来ていたようだ。
嬉しそうな顔をしながらミウに紹介している。
そして彼氏の紹介が終わるとミウは俺をチラッと見るなり、照れくさそうに言った。
「あ…ちゃんと紹介していなかったよね。夫のコウ」
「先日はどーも」
華ちゃんは俺を見るなりニコッとすると元気に挨拶する。
それは若さからなのか、元々の性格なのか俺には考えられないくらいに元気だった。
ミウの後輩だし悪い娘じゃないのはわかるけど…。
でも正直このテンションにはついていけない。
だから俺は「どうも」と短く言うと軽く会釈をした。
その後もミウと華ちゃんは楽しそうに話していた。
でもこの二人って正反対な感じだよな。
大人しいミウに元気な華ちゃん。
普通なら接点なさそうなのに、こんなに仲がいいって不思議で面白い。
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