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「ふーん。まっいいけど。で、おまえ何か飲む?俺、取ってくるけど」
まっいいけど…って、いいわけない。
でもここで俺一人がイライラしてもしょうがないし…頭でも冷やすか。
俺はそう言うと席を立った。
するとミウは遮る様に返事をした。
「あっいいよ。私が行ってくる」
その顔は俺の言葉に助けられたと言わんばかりだ。
まぁきっとミウも気まずいと思ったのだろう。
この態度から俺に言えない何かがあったのは確定だ。
褒められたんじゃない。口説かれたんだ。
まぁそれを俺に言う事はしないよな。
それにしても何でコイツはこうもわかりやすいんだろう?
もっと上手にできないのか?本当に子供だな。
俺はこのわかりやすい態度に呆然と見てしまっていた。
ミウはそんな俺を無視するかのように皿をテーブルの上に置くと飲み物が置いてある場所へと向かって行った。
ミウが飲み物を取りに行って数分、俺は食べずに戻ってくるのを待っていた。
当然だが、周りではそんな俺を無視するかのように平らげていく。
第二陣、第三陣と焼き上がったのがどんどん無くなっていく。
本当は腹が減って食べたい気持ちが強いが、俺の飲み物も取りに行ってくれている。
だから先に食べるのは失礼だと思った。
…それにしても遅いな。
飲み物を取りに行く位だからすぐに戻ってくるはずなんだけど…。
その瞬間、俺の脳裏にさっきの光景が蘇ってきた。
もしかして、また早坂と話しているのか?
確かにアイツの姿もここからは確認する事ができない。
そう思うと俺の心がゾワゾワと騒ぎ立ててくる。
…嫌な予感がする。
気がつくと俺は飲み物が置いてある場所へと向かっていた。
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