君の瞳に映るもの

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花火が終わると皆一斉に河川敷から離れ出して行く。 俺とミウはしばらく動かず周りの人が離れて行く所をぼんやりと見ていた。 さっきまでここには多くの人がいて同じ花火を見ながら歓喜を上げていたのに、終わった途端にどんどんいなくなっていく。 それはまるで夢から醒めたように。 花火という夢から現実に皆戻って行く。 そして気がつくと人もまばらになっていた。 「さてと帰るか」 俺はミウを見ながら言うと駅の方に向かいゆっくりと歩き出した。 ミウは「うん」と返事をしたかと思えば、「きゃっ」と慌てた声とともに俺に寄り掛かってきた。 どうやら足元がよろけて転びそうになったみたいだ。 「ったく大丈夫か?」 俺はそう言うと咄嗟にミウを抱きかかえるように支えた。 するとミウは俺からパッと離れると「えへへ」と笑った。 「うん。大丈夫。えへへ、普段着なれないもの着ているから歩きづらいね」 そう言うミウの顔はどこか恥ずかしそうで、きっと俺に呆れられたと思っているんだろう。 浴衣なんて着てくるからだって。 そんなこと思ってもないんだけどな。 「まっいいんじゃねーの」 「えっ?」 ミウは俺の言葉が意外だったのか拍子抜けした顔をした。 …やっぱり。 俺ってそんなに意地悪じゃないんだけどな。 でもそんなミウを見ていると意地悪な一言も言いたくなる。 「馬子にも衣装って感じだよな」 俺はそう言うと前を見ながら「あはは」と笑った。
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