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「えっ?」
ミウは意味がわからないと言わんばかりの顔をした。
…何だよ。ここまで言ってもわかんないのかよ。
普通だったらいい加減に気づくんじゃねーの?
ったく。鈍感なのはわかってたけど、ここまでとはな。
わからない奴はそうはいないだろう
まっ。それがコイツだ。ミウだ。
だからコイツには遠回りした言い方をしても無駄だ。
俺は心の中で一息置くと、ミウを真っすぐ見ながら言った。
「好きだから」
「え…」
ミウは歩くのを止めると、ポカンと間抜けな顔で俺を見ていた。
それはまるで夢を見ているかのようで。
まさか俺が好きだと言うと思わなかったのだろう。
突然ミウが立ち止まった事で後ろを歩いている人が怪訝そうな顔で俺達を避けながら通り過ぎていく。
「何だよ。急に止まりやがって」と言っている人もいる。
でもそんなの関係ない。
やっとミウに言えたんだから。
長年の気持ちを伝える事が出来たんだから。
だから他の奴らにどんなに嫌な顔をされたって構わない。
見せつけてやる。
俺は一瞬微笑むとミウの耳元に唇を寄せてそっと囁いた。
「ミウ…好きだよ」
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