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リビングに戻るとミウはまだ華ちゃんと電話をしていた。
その顔はさっきまでのような不機嫌ではなく、いつものミウに戻っていた。
…それにしても長いな。
こんなに話す事があるのか?
ったく。女ってそうだよな。
でも悪い気はしない。
ミウが他の人と話している姿はなかなか見れないから新鮮だ。
だから俺は電話をしているミウをぼんやりと見ていた。
けど手にはさっきのミウの感触が残っている。
…もっと触れたい。
まだまだ足りない。
そう思うと俺はミウの後ろへと移動し、背後からギュッと抱きしめた。
抱きしめるとミウの髪からいい匂いがして、体温が俺の胸に伝わってくる。
それは温かくて心地よくて。
それだけで愛おしく感じる。
俺はミウがあまりにも愛おしすぎてうなじや首筋に「チュッ」とキスをした。
ミウは突然のキスに体をビクッとさせると肩を竦んだ。
そして感じてしまったのか、官能的な声を出した。
「あんっ…」
ミウはその途端「マズイ」と言わんばかりの気まずい顔をした。
顔を真っ赤にすると慌てたように「えっ?そそそ…そんな事ないよ」と否定している。
そして振り返ると俺を「キッ」と睨んだ。
抱きしめているからすぐ近くにあるミウの顔は睨んでいるんだけど、恥ずかしそうで。
きっと華ちゃんに聞かれてしまったのだろう。
だから必死に否定しているんだ。
もしかしたらエッチしてたんじゃないですか?とかストレートに言われたか?
でもこのミウの反応を見る限りは間違ってないと思う。
顔を真っ赤にして必死に否定してさ。
俺は顔が綻んできたかと思うと大声で「あはは」と笑ってしまった。
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