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ミウは俺の反応にイラッとしたのか呆れたように言った。
「コウも誰かと行けば?」
「はぁ?誰と?」
「そうだなぁ…会社の田中さんは?」
ミウが言った途端、田中の顔が頭に浮かんできた。
その顔は俺を小馬鹿にする時のすかした顔で、思い出しただけでイラッとする。
なんで休みの日にアイツと行かなきゃいけねぇんだよ!
「バカじゃねえの。なんで俺が野郎と行くんだよ」
俺はイラッとしながら言った。
ミウの言い方から意地悪をしているのを感じたからだ。
きっと一緒に行く相手がいないと思っているのだろう。
でもだからって田中はないよな。
ミウはそんな俺を見ながら微笑んでいた。
そして時計を見ながら言った。
「花火綺麗なのに残念。さーてそろそろ着替えようかなぁ」
時計を見るとそろそろ3時になろうとしていた。
きっと華ちゃんとの約束があるのだろう。
ミウは立ち上がり部屋に行こうとすると、テーブルに置いてある携帯電話が鳴った。
もちろんミウの携帯だ。
その音は長くてメールでない事がわかる。
俺は携帯電話を手に取るとミウに向かって声をかけた。
「…おい。携帯鳴ってるぞ」
「えっ?電話?」
ミウは俺から携帯を受け取ると「もしもし華ちゃん?」と言った。
どうやら相手は華ちゃんらしい。
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