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私がしつこく聞いたせいか、やっとコウは顔を上げて私を見てくれた。
でもその顔はやや機嫌が悪そうで、もしかしたら怒った?と思ってしまう。
まぁ…コウはしつこくされるの嫌だよね。
これ以上気を悪くさせるのも嫌だし、話題を変えようかな。
私が話題を変えようとするとコウは私を真っ直ぐ見ながら言った。
「で、ミウは?」
「はい?」
私は逆にコウに聞かれて驚き、間の抜けた声を出してしまった。
まさか聞かれるとは思ってなかったからだ。
てっきりこの話題は嫌なのかと思って話題を変えようとしていたのに。
コウの中ではまだこの会話が続いていたんだ。
そんな私の反応にイラッとしたのかコウの顔が不機嫌そうになっていく。
「ファーストキスいつなんだよ」
私はコウの言葉に一生懸命に記憶を手繰り寄せるように思い出した。
その瞬間、頭にぼんやりと一人の男の子が浮かんでくる。
「えーと…高校生の時かな」
そう。あれは人生初の彼氏だった人。
確か同じ高校生に通う同級生で。
彼も私も付き合うのが初めてで。
当然キスも初めてで。
ぎこちないキスをしたのを覚えている。
でも残念な事に顔もぼんやりとしか覚えてない。
まぁ高校生って事は15年位前の事でしょ。
それにその人とは長く続かなかった。
でもぎこちないキスって…あの頃って今では考えられないくらいに純情だったんだ。
うん。いい思い出だ。
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