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「それにしても、おまえは俺にヤキモチさせたかったの?」
コウは私の顔を覗き込むように言った。
さっきまで少し離れた所にいたのに気がつくと目の前にいる。
「は?」
「高校生の時の恋愛を俺に聞かせるなんてな」
コウはそう言うと私に覆い被さってきた。
私はコウの重みで押し倒されてソファーに寝転がってしまった。
今にキスできそうな位に近い距離にコウの顔がある。
その顔は相変わらず綺麗なんだけど、瞳はどこか獣のようで。
私はそんなコウに見つめていると思うとドキドキしてくる。
「ちょ、ちょっとコウ?」
「そんな記憶忘れさせてやる」
コウはそう言うと私の耳たぶに唇を落としてきた。
突然の事に私はどうしていいのかわからない。
「えっ?えっ?えっ?」
私が戸惑っているとコウは優しく微笑んだ。
そして私の唇にそっと指を置く。
まるでシーと静かにしてと言わんばかりに。
「ミウには俺だけでいい」
コウはそう言うと私の唇にキスをしてきた。
それは軽く唇にだけ触れるように。
優しくて甘くて。
まるであの時のファーストキスのように。
コウのファーストキスが私で良かった。
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