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ミウと抱き合っていると、リビングから「おんぎゃあ、おんぎゃあ」と赤ちゃんの泣き声が聞こえてきた。
俺達は赤ちゃんの泣き声に同時に身体を離した。
そして何事かのように二人目を見合わせた。
「今の赤ちゃんの泣き声だよね?何かあったかな?」
ミウは心配そうな顔をしている。
確かにあの泣き声は尋常じゃない。
「行こう」
俺の言葉にミウは「うん」と頷くと慌ててリビングに向かった。
リビングに戻ると、さっきまで田中の奥さんの膝の上でニコニコしていた赤ちゃんが大泣きしていた。
その泣き方はあまりにも激しくて、いない間に何かあったのかと心配してしまう。
もしかして具合でも悪くしたか?
ミウもそう思っていたのか赤ちゃんを覗き込むように言った。
「どうしたんですか?」
「たぶん…オムツの交換だと思います。それかミルクかな?」
心配そうなミウとは逆に田中さんの奥さんは笑顔のまま言った。
田中の奥さんは別に慌てる事もなく、その表情からたいした事ではないのがわかった。
横にいる田中も奥さんから言われたとおりにマザーズバックから紙おむつや哺乳瓶を出している。
その動きからきっと日常的な事なのだろう。
ミウは安心したのかホッと胸を撫で下ろすと田中の奥さんに言った。
「じゃあ私の部屋を使ってください。ベッドがあるからオムツの交換はそこで」
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