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「マジで?いいなぁ。沖縄行きたい!」
ミウは持っていたお茶碗と箸をテーブルに置くとズイッと身を前に乗り出してきた。
その顔は羨ましさでいっぱいなのか目がキラキラしている。
食事を終えた俺はそんなミウを見ながらお茶を飲んでいた。
お互いの気持ちが通じて以来、俺達はいつも一緒にいるようになった。
それは結婚してからと変わりないかもしれない。
でも以前と違うのはミウの気持ちを知った事だ。
だから仕事で会えない時は電話やメールで連絡を取り合ったりして、常にミウを寂しくさせないようにした。
コイツ寂しがりやだからな。
そんな中、沖縄出張の話が舞い込んできた。
てっきり寂しがるかと思ったらコイツ目をキラキラさせながら「行きたい!」って…。
ったく。よくわかんない奴だ。
それにどう考えても無理だろう。
「連れて行ってもいいけど仕事休めんの?平日だけど行ける?」
そう。これは遊びじゃなくて仕事だ。
だから行くからもちろん平日になる。
ミウだって仕事があるからそう簡単には行けないだろう。
って。わかっているのか?
「へ、平日?」
ミウは俺の言葉にキョトンとした顔をした。
…やっぱりわかってない。
コイツって本当に30歳かよ。ったく子供みたいな反応しやがって。
俺は「はぁ」と溜息をつくと呆れるように言った。
「そうだよ。だって仕事で行くんだから」
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