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「じゃあ行ってくる」
俺は荷物を持つと玄関に向かった。
ミウは俺を見送ろうと思っているのか後ろからついて行く。
そして玄関で靴を履いていると後ろから俺の名前を呼ぶミウの声が聞こえた。
「…コウっ!」
俺はミウの声に驚いた。
突然呼ばれたのもあるが、その声は助けを求めているように聞こえたから。
「ん?」
俺は返事をすると振り返りミウを見る。
ミウは目が合った途端に視線を外した。
「…なんでもない」
その表情から俺は気がついた。
…そっか。
俺だけじゃないんだ。ミウだって寂しいんだ。
でもそれを言えないんだな。
俺だって寂しいよ。だから昨夜おまえを抱いたんだ。
会えなくても大丈夫のように甘く激しく。
でもおまえは…。
「昨夜のじゃ物足りなかった?」
俺が言うとミウは恥ずかしそうな顔をした。
きっと昨夜の事を思い出したのだろう。
だから慌てて否定しようと頭を左右に振っている。
でもそんなのも強がりにしか見えない。
だから俺はミウが言い終える前に唇を塞いだ。
「そ、そんな事な…んっ」
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