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確かコウはご両親を亡くした後、お祖母さんと二人暮らしをしてたって聞いてた。
そのお祖母さんも数年前に亡くなったって言ってたっけ。
「婆ちゃんさ、あまり具合がよくなくて入退院を繰り返していたんだよ。まだ親がいた時は親が面倒みていたけど、亡くなったら俺が看るしかないだろ」
「うん」
「だからミウに会いに行けなくなった。いや、それは言い訳だな」
そう言うとコウは頭を横に振った。
「言い訳?」
「うん。婆ちゃんが亡くなってからはいつでも会いに行けたのにどうしても行けなかった。会わない時間が多ければ多くなるほど余計に会うのが怖くなってさ」
「…怖い?」
「だって気持ち悪いだろ?しばらく会っていないのにずっと好きだったって。迷惑だろ?」
「…」
私はコウの質問に答えられなかった。
確かにそうかもしれない。
しばらく会っていないのに「ずっと好きだった」って。
きっと「えっ?」って驚くに決まっている。
それがたとえコウでもだ。
「ミウだってそれなりの恋愛をしているんだから突然俺が現れるのは迷惑だと思った。だからもう会う事もないと思ってた」
「…」
「でも何でだろうな?引っ越して離れても大人になってもミウへの気持ちは変わらなかったよ」
コウはそう言うと「あはは」と乾いた笑いをした。
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