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「逃げ切れようの…ない…状態？」
逃げ切れようのない状態。
それがどういう事なのか私には意味がわからなかった。
するとコウはポツリポツリとゆっくり話し出した。
「俺さ、ミウと再会するまでは好きでもない女と寝る事も平気だった男なんだよ。心は満たされなくても体が満たされればいいって思ってた」
「…え？」
私はコウの思いがけない告白に自分の顔がフリーズしているのを感じていた。
好きでもない女と平気で女と寝る事が出来た…って
体が満たされればいいって…。
「だから色んな女と遊んだし、理沙もその一人だった。」
「…」
「前にミウに聞かれた時に「付き合ってた」と言ったけど、それは元カノではなくて体の関係があったって事なんだ」
「…理沙さん」
その瞬間、理沙さんの顔が頭に浮かんだ。
あの時、二人で話した時の事が蘇ってくる。
理沙さんは自分の会社を守るためにコウは私と偽装結婚したと言った。
二人で夢を叶える為に。
行く先の結婚の為に。
もう何の障害も無くなった今、私達の結婚は意味がない。
だから返して…って。
それは嘘だったの？
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