不機嫌の理由

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「べっ……別にボクには関係無いし」 「何だ、気にしてくれてんのかと思ったのに」 「バカじゃないの?」 「何でリンなんかを」と言いながらも、ハル君が安堵したように短く息を吐いたのが見えて。 もしかしたら片桐君の言っていた事は本当だったのかもと、改めてそう感じた。 ハル君は広瀬君が好きだったのに、中尾君も好きだったって事? そこはまだ僕には解らなかったけど。 「ハル君、良かったね」 僕が声を掛けるとハル君は顔を赤くしながら僕の方を向いて。 「だからリンが誰に告白されようがボクには関係無いってば!」 凄い剣幕で僕に詰め寄った。 「え……中尾君とケンカしたって言ってたから、仲直り出来て良かったねって……」 「……あ、ソッチか」 「え……?」 「何でもない!」 クルリと身体を反転させて、ハル君が自分の教室へと歩いて行く。 途中で「佳人のバカ」という声が聞こえたけど。 「いつものハルに戻ったみたいだな」 「中尾君」 ハル君の後ろ姿を見届けてから、中尾君が「お騒がせしました」と僕に笑いかける。 .
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