1626人が本棚に入れています
本棚に追加
「ホントにあの時のサンタおじいちゃん? てっきりアレは夢だと思ってたのに……」
「ちゃんと約束したじゃろが。ワシは約束はキッチリ守る律儀な男じゃぞ」
そう言うとサンタおじいちゃんはまたあの時のようにその場に胡座をかいて、カーディガンのポケットから何かを取り出す。
小さいおじいちゃんのポケットから出てきた、さらに小さい物。よくよく見るとそれは葉巻とライターだった。
「さて、これでお前さんにやっとプレゼントを渡し終えた。こんだけ手間のかかるプレゼントは初めてじゃわい」
葉巻に火を点けながらそう言い、サンタおじいちゃんは目を細めてゆっくり口から煙を吐き出す。
そしてニヤリと笑って「ワシの仕事もなかなかじゃな」と満足げに僕の顔を見つめていた。
「プレゼントって……あの“新しい人生”ってやつ? 僕は何も貰ってないけど?」
「何を言うか。ワシの仕事は完璧じゃ。ホレ、鏡見てみぃ」
鏡……?
鏡なんて何処に置いてたっけ?
鏡を探そうとベッドから起き上がる途中、何か違和感を感じた。
.
最初のコメントを投稿しよう!