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部屋に一人取り残されてしまった僕は、しばらく動けずにその場に立ち尽くしていて。
「佳人~、早く起きなさ~い」
一階から聞こえた母親の声でハッと我に還った。
とりあえず学校に行かない訳にはいかない。
早く着替えして支度しなきゃとハンガーに掛けていた制服に手を伸ばすと、そこにはいかにも今までの僕じゃ着られなかったであろう小さいサイズの制服があった。
記憶だけじゃなくこんな所まで細工してたんだ……。
さすがサンタおじいちゃん。
支度を終えて一階のリビングに向かうと、自称“ぽっちゃり体型”の母親が「新しい制服似合うじゃないの」とはしゃいだ声で話しかけてくる。
その傍で新聞を読んでいたガッチリ体型の父親も「佳人ももう高校生か」としみじみ呟いていた。
僕がこの姿になった事を何も疑問に思わないのは、おじいちゃんの細工のお陰なんだろう。
変に思われて説明に困るよりは良かったけど……何かちょっと複雑かも。
そして両親と一緒に朝食に丼ご飯を2杯平らげてから、憂鬱な気分のまま学校へと向かった。
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