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重い足取りでゆっくり歩いていても、嫌でも学校に着いてしまう。
サンタおじいちゃんの言っていた“サービス”というのが気になるものの、学校が嫌なのはすぐには変わらない。
「学校……イヤだなぁ……」
正面玄関で新しい上履きに履き替え、自分の教室は何処だっけとキョロキョロしながら歩いていると、大声で騒ぎながら歩く何人かの集団とすれ違いそうになる。
虐められる!?
とっさに集団から離れようと後ろも確認せずに後退った瞬間、ドンッと背中に衝撃を感じてその反動でそのまま前に倒れ込んでしまった。
今までの僕ならこの位の衝撃で吹っ飛ばされたりなんか……膝打った、痛い。
「大丈夫か? 悪い、いきなりぶつかって来たから避けられなくて……」
僕がぶつかったであろうその人が、未だに倒れ込んだままの僕の傍らにしゃがみ込む。
そして僕に向かって手を差し伸べて来た。
「……え?」
何をするつもりの手か解らずじっと凝視したまま固まってしまった僕を、今度はその手が僕の腕を掴んで抱き起こした。
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