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「まだ諦めてなかったのか」とイケメン広瀬君が溜め息混じりに呟く。
というか、聞き間違いじゃなかったら今“佳人”って……。
「あの……メアドは無理です。ごめんなさい……」
「ぇえ~? 何でさ~」
「ケータイ……持ってないんで」
僕のこの一言で、しばらく二人揃って沈黙してしまう。
「……マジ? ケータイ無いの?」
「……はい」
「んじゃ、友達と連絡取る時とかどーしてんの?」
友達の居ない僕には、友達と連絡を取る必要は無い。
だから今までケータイなんて無くても不自由しなかったので、欲しいと思った事も無いのだ。
でもこれを正直に言って良いものなのか……。
「あ……その……僕、友達居なくて……」
「え、そーなの?」
こんな事を言ったらせっかく話し掛けてくれたイケメン広瀬君や茶髪君に引かれてしまうかもしれない。
でもいいんだ、今までだって友達は居なかったんだし。
もう僕に失う物は何も無い。
「その……僕、中学の時虐められてて……」
「……」
「……」
イケメン広瀬君も茶髪君も、黙って僕の話を聞いてくれている。
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