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朝。
目が覚めて最初にした事は、自分の姿の確認だった。
やっぱりアレは夢で、起きたら元の豚野郎に戻ってしまっているんじゃないかと思っていたが。
「腕……細い……お腹も……」
どうやら夢ではなかったらしい。
のそのそとベッドから起き上がり、顔を洗おうと洗面所に向かった。
洗面所の鏡に映る僕の顔は、一昨日までのぷくぷくした丸顔とは全く違う顔。
「夢……じゃないんだよなぁ……」
昨日のサンタおじいちゃんとの会話がグルグルと頭を巡る。
新しい人生、人間を好きになる事、そして自分を好きになる事。
どれも難易度が高過ぎて……今の僕には無理そうだよ、おじいちゃん……。
制服に着替えて一階のリビングに向かうと、朝食の支度に忙しなく動く母親が「早くご飯食べちゃいなさい」と急かしてくる。
テーブルの上には卵何個分か解らない大きな卵焼きと、大皿に山盛りのウインナー。そしていつもの丼ご飯。
僕の姿は変わってもこういう所は変わってないんだな。
それだけでも少しホッとした。いつも通りの朝、いつも通りの両親の笑顔。
変わってしまったのは僕だけだ。
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