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二人のやり取りを見つめながら首を傾げる。
その視線に気付いたのか広瀬君は「ほら、教室入るぞ」と僕の背中を軽く押した。
「ズルイぞ、広瀬。俺から佳人を取るなよー」
片桐君の言葉を無視して。
もしかして昨日広瀬君が言っていた事は本気だったのかな?
僕を……守るって……。
そう思ったら何だか恥ずかしくなって。
「……」
まともに広瀬君の顔が見られなくて俯いてしまった。
4限目の授業終わりのチャイムが鳴り、勉強があまり得意ではない僕はやっと昼休みになったかと「はぁ~…」と大きな溜め息を吐いた。
これでやっと午前中の授業が終わり、お楽しみのお弁当タイムだ。
お弁当の入ったカバンを掴み、勢い良く席を立つ。
「あ、細田……」
広瀬君に話し掛けられた気もするが、構わずそのまま教室を飛び出した。
昼休みは学校が嫌いな僕にとって唯一の癒しの時間。
誰にも邪魔されずにゆっくりお弁当を楽しみたかったのだ。
「何処で食べようかな」
入学したばかりでまだ校舎の構造には詳しくない。
僕は人が居ない所を探しながら一人ウロウロと校内を歩いていた。
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