ハグとお弁当

5/13
前へ
/501ページ
次へ
二人のやり取りを見つめながら首を傾げる。 その視線に気付いたのか広瀬君は「ほら、教室入るぞ」と僕の背中を軽く押した。 「ズルイぞ、広瀬。俺から佳人を取るなよー」 片桐君の言葉を無視して。 もしかして昨日広瀬君が言っていた事は本気だったのかな? 僕を……守るって……。 そう思ったら何だか恥ずかしくなって。 「……」 まともに広瀬君の顔が見られなくて俯いてしまった。 4限目の授業終わりのチャイムが鳴り、勉強があまり得意ではない僕はやっと昼休みになったかと「はぁ~…」と大きな溜め息を吐いた。 これでやっと午前中の授業が終わり、お楽しみのお弁当タイムだ。 お弁当の入ったカバンを掴み、勢い良く席を立つ。 「あ、細田……」 広瀬君に話し掛けられた気もするが、構わずそのまま教室を飛び出した。 昼休みは学校が嫌いな僕にとって唯一の癒しの時間。 誰にも邪魔されずにゆっくりお弁当を楽しみたかったのだ。 「何処で食べようかな」 入学したばかりでまだ校舎の構造には詳しくない。 僕は人が居ない所を探しながら一人ウロウロと校内を歩いていた。 .
/501ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1626人が本棚に入れています
本棚に追加