ハグとお弁当

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休み時間ともなると廊下では沢山の生徒が、友達と笑い合いながら小さな集団を作って固まっている。 ぶつからないよう気を遣いながら歩いていると、すれ違い様に何人かの生徒が僕に視線を向けていた。 ふと振り返ると、通り過ぎた筈の人も何人か僕の方を見ていて。 「……っ!」 僕と目が合うと慌てて顔を逸らしていた。 そんなに僕って目立つんだろうな……。 今までも学校だけじゃない、学校の外でもそうだった。 すれ違った人が僕を指差しながらクスクス笑う。たまに僕を馬鹿にするような言葉も聞こえてくる。 それがイヤで僕は外に出るのすら億劫になり、学校以外は家に籠りゲームばかりする生活をしていた。 それはやっぱり、この姿になっても変わらないのかな……。 人気の無い方へと歩いているうちに、実習棟の端まで来ていたらしい。 教室のある棟は人も多いがここなら休み時間は殆ど人は来ないみたいで。 「ここでいいか」 二階に続く階段の段差に腰掛けた。 少し気分が落ち込んでいるが、お弁当を食べれば元気になる。 そう考えながら。 .
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