クリスマスの奇跡

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そう昔話を語りながらその場に「どっこいしょ」と胡座をかいて座るその人影は、でっぷりとした貫禄ある体型、白髪に真っ白い髭を蓄え全身真っ赤な衣装に身を包んでいる。 見た目はサンタそっくりだ。 体長は15センチ程しかないが。 「その頃よく一緒に遊んでいたトーマスがスザンナちゃんの事が好きじゃったんじゃがな?スザンナちゃんは実はワシの……」 僕が目の前の奇妙な生物を凝視している間にも、そのサンタそっくりなおじいちゃんの話は続いている。 「何じゃ?ワシの話を聞いておらんのか? これだから最近の若いもんは人の話を聞かんと……」 「あの……どちら様ですか?」 堪えきれずそう質問した僕に、サンタそっくりおじいちゃんは「はぁ?」と呆れたような声を上げる。 それこそ『何言ってんだ、コイツ』とでも言いたげな視線を向けて。 「ワシの名前はボブじゃ」 「……いや、名前じゃなくて」 「聞いたのはお前さんじゃろうが!これだから最近の若いもんは年寄りを馬鹿にしおって……」 おじいちゃんの説教はどうでもいい。 僕が尋ねたいのはこのおじいちゃんが何者かって事だ。 .
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