クリスマスの奇跡

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「お前さん、人間がキライなんか?」 「え、どうしてそれを……」 「ワシには解る、サンタじゃからな。さっきまでパンダになりたいっちゅーとったじゃろ」 確かにどうせなるなら豚よりパンダがいいかな、とは考えていた。 頭の中で考えていただけなのにそれが知られているとは、サンタは人の心が読めるんだろうか? サンタ……恐るべし。 「生憎ワシはお前さんをパンダにする事は出来ん。精々トナカイじゃな」 あ、パンダはダメでもトナカイならいいんだ……。 「お前さんがトナカイになったら、ウチで世話してやってもいい。三食昼寝付き……まぁ、ソリは引いてもらうがな」 この際トナカイでもいいかな。 クリスマスの日以外は忙しくなさそうだし、トナカイ仲間になら虐められる事もなさそうだ。 そんな事を考えていた僕に、サンタおじいちゃんが急に真面目な顔をしてこう言った。 「じゃがな、もうちょっと頑張って人間をやってみんか?」 .
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