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携帯が震えた。カマさんからの着信だった。だけど、それには出ずに着信画面だけヤマ兄に見せた。
「ヤマ兄。今日、本当はカマさんのクリスマスパーティに行く予定だったのじゃ。ごめんね」
「……」
「だから、もう行くね」
どんな理由でもいいから、早くその場を立ち去りたかった。
一緒に居ることが辛いと思うなんて。
片想いの頃とは別の痛みがあたしを襲う。
それはきっと、2人でいる喜びを知ってしまったせいだと思う。
「行けば?」
「うん」
「じゃあ、送る」と言って、ヤマ兄は歩き出した。
「あたし、ひとりで行けるよ?」
「危ないから、無理」
「でも……」
「せめて駅まで送らせろ」
「でも……」
「いいから」
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