甘い時間。

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「ルリカと仲直りしたんだ?」ってサヤコが笑いかけた。 「あっ。まあ、そうなのかもね」 「良かった。仲良いほうが気持ちいいもんね」 「うん」 そう言いながら、胸が少しザワついた。 キョウがコウメちゃんに素っ気ない原因があたしだったら嫌だなって。 そんなことないのかな。 最近は、仲良くやってる気もするし。 違う悩みだといいな、って思ってるのに聞き出す勇気がやっぱりなかった。 だから、あたしが出来ることと言えば、日常生活の中で、前と変わらないあたしでいる様に心掛けるしかないのかもしれない。 深い話をして傷付けるのが恐かった。 ルリカと出来た溝は埋まりそうな気がしてるのに、キョウとの溝はまだ埋められないのかもしれない。 あたしから下手に歩み寄ってはいけない気がした。 一緒に過ごした時間が長すぎたからかな。 お腹の中から一緒のせいかな。 受け入れられないことって、人間誰しも持ってるんだ、って思った。
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