甘い時間。

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「くっ」と急に吹きだすから、いつもの冗談だって分かった。タカ兄が可愛いなんて言うはずがないのだ。 「成敗!」 「怒んなオラウ―」と、叩いた手をその日も軽くあしらわれた。またいつものパターン。勝てないのが悔しい。 「つうかさ」 笑ってたと思ったら、また真顔になった。 「んっ?」 「お前、本気で彼氏とかいないんだよな?」 「はっ?」 「どうなんだ?」 「いない。昨日も言ったでしょ?嘘だって」 「好きな奴も?」 「いない」 「貴重な奴だな」とそこで笑った。だからかホッとした。タカ兄の真顔って、なぜかあたしをドキドキさせるみたいだ。
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