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「早崎くん!?ちょっ、寝言言いながら泣かないでよっ!!」ヒソヒソ
「…ぬあ?え、江村さん?」
授業中なのか、江村さんが気を使ってヒソヒソ声で起こしてくれた。ほんと…優しい学級委員長様だ。
「大丈夫?ふと後ろを見たら早崎君が泣いているんだもん。びっくりしちゃったよ」
「そ、そうか。いやあ…ありがとうね」
茶髪ショートの学級委員長が本当に不安げな顔をこちらに向けてくる。ありがたい。
ええと…今は6時間目の化学基礎の授業中なんだな。ご老体の先生が細々としゃべっているのと、時計が3時近くを表していることから把握できる。
「何かあったら言ってね?いつでも相談にのるよ?」
「本当にありがとう。ま、俺は大丈夫だからさ?他の男子を気遣ってやれよ」
江村さんには俺みたいにボッチ寸前キャラになってほしくないからね。起こしてくれたのはありがたいけど、やはり忠告はしておかないと。
「……うん、そうだよね。なんかわかってたよ。その言葉」
江村さんは何やらしょんぼりした顔で、再び前方の黒板に向きなおす。むう、何か間違えたのか?俺の席から江村さんの席は右上だから、後ろ姿しか見えない。
「そ、それでは浦安さん…この問題の答えを黒板に書いてください」
「あ、はーい。わかりましたあー」
俺の隣の隣の主、浦安早苗が席を離れる。さてはて…ラノベでも読みましょうかね。
「え!?早崎君、今授業中だよ!?」
「ああ、別にいいんだよ。浦安さんは黒板に書くのにかなりの時間を使うから。起きている暇な時間に読まないとね~」
「え?」
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