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  入学して間もない頃、わたしが初めて母にそのことを告げたのは、いつもの慌ただしい朝食の時間だった。 「祐希、早くしないとまた班長がピンポーンて迎えに来ちゃうわよっ」 「わーかってるってー」  母にせかされても、ご飯をひとくち頬張っては、テレビに観入って箸を止めてしまう祐希。それに怒って、リモコンでテレビの電源を切る母。  ピンポーン、というインターホンの音に、母がカーテンを開け、外を見る。  硝子戸を開け、ごめんね、今行くから、と声をかける母の後ろで、口をもぐもぐさせながら慌ててランドセルを背負い、廊下に飛び出して行く祐希。  いつも通り、何も変わらない、平和な日常。 「まったくもう、毎日毎日、同じことの繰り返しなんだからっ」  一人でぶつぶつと文句を言いながら、母が祐希の使った食器を重ね始める。  それも、いつもと同じ。何も変わらない…。  わたしは、カチャン、と箸を置いた。
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