1096人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「無理に、とは言えないけど、チャンスをくれないかな。
もちろん、分からないことだらけだと思うから、時間をかけて勉強して、たくさん練習もしなきゃいけないけど。
俺も部員たちも、全力で応援するつもりだよ」
こちらを見つめるコハク色の瞳が、まるでわたしの全てを知っているかのように思えて、――気を抜くと、その目に全てを委ね、頷いてしまいそうになる。
「でも…」
わたしは慌てて言った。
「どうして、わたしなんか……。
探せば、他にいくらでも、やりたい人がいると思いますよ。あんなに人気のある番組なんだし…」
「…他の子じゃ、ダメなんだ」
その言葉は、耳からではなく、わたしの心に直接打ちこまれたかのように、強く響いた。
「これは、…もしかしたら、俺の個人的な希望かもしれないけど…」
少し間を置いて、春山先生は言った。
「君じゃなきゃ、ダメなんだ。――君にしか出来ない放送を、聞いてみたい」
最初のコメントを投稿しよう!