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 ぱらり、と投稿用紙をめくるきれいな指先を、ぼんやりと目で追う。 「…どう?」  顔を上げると、春山先生が頬杖をついて、こちらを見ていた。 「…終わりそう?」 「あ、…いえ、まだ…」  わたしは投稿用紙の束をトン、と揃え直し、文面に目を走らせた。  いつもの、木曜日。  放課後の放送部室。  それは、春山先生と過ごすことが出来る、わたしにとっての、特別な場所。  でも……。 「…いよいよ、明日でラストか」  先生の呟きに、わたしは唇を固く結んだ。
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