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「ダメダメ。これは、俺だけの特権なの。…お前らは、そこで見とけ」 「マジ、ズルイッ」 「椎名先輩っ」  後ろから、誰かが抱きついて来る。 「こらっ、お前は触っちゃダメ…」 「俺もっ!…椎名先輩~っ」  部員たちが次々と抱きついて来て、…次第に団子のような塊になっていく。 「おい、…どうでもいいけど、紛れて俺に抱きつくなよ、…こらっ、そんなとこ触るな、って」  泣いていたはずのわたしは、思わず笑い出した。  部員全員参加のおしくらまんじゅうの中心に居るのは、かなり息苦しくて辛かったけれど、…先生は、しばらくそのまま、私を離そうとはしなかった。  『恋パラ』引退の日。  最後に、…初めて先生から、生徒として抱きしめて貰えたことが、…わたしはとても、嬉しかった。
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